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第387話 自分の隣に置きたかった

Author: Sunny
last update publish date: 2026-09-29 20:14:17

「お兄さんは、完全に揶揄ってる感じだったけど」

「……あれは絶対、わざとです」

隼人くんが小さく笑った。

「俺が気にしてるのも、すぐ分かってたよね」

「直くん、そういうのには気づくから」

「綾香ちゃんは気づいてなかったけど」

「何に?」

隼人くんが、息を漏らすように笑う。

「俺が手を引いた理由」

「一緒に席へ行くためでしょう?」

「それもあるけど」

私の腕に触れていた指が、ゆっくり手首まで下りる。

そこから。

掌が重なる。

指先が、私の指の間へ静かに入った。

「直哉さんのそばにいた綾香ちゃんを」

一度、目が合う。

「自分の隣に置きたかった」

胸の奥が小さく鳴った。

冗談ではない。

笑ってはいるのに。

目だけは、まったく誤魔化していなかった。

「本当に」

私は少し笑う。

「分かりやすくなりましたね」

「綾香ちゃんの前ではね」

つないだ手を少し持ち上げる。

隼人くんの視線が、絡んだ指へ落ちる。

「前より、隠さないようにしてるから」

包まれた指が温かい。

私は少しだけ身体を寄せた。

空いている手を、隼人くんの胸元へ置く。

薄いシャツ越しに。

思ったよりはっきりと体温が伝わった。

その瞬間。
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    「お兄さんは、完全に揶揄ってる感じだったけど」「……あれは絶対、わざとです」隼人くんが小さく笑った。「俺が気にしてるのも、すぐ分かってたよね」「直くん、そういうのには気づくから」「綾香ちゃんは気づいてなかったけど」「何に?」隼人くんが、息を漏らすように笑う。「俺が手を引いた理由」「一緒に席へ行くためでしょう?」「それもあるけど」私の腕に触れていた指が、ゆっくり手首まで下りる。そこから。掌が重なる。指先が、私の指の間へ静かに入った。「直哉さんのそばにいた綾香ちゃんを」一度、目が合う。「自分の隣に置きたかった」胸の奥が小さく鳴った。冗談ではない。笑ってはいるのに。目だけは、まったく誤魔化していなかった。「本当に」私は少し笑う。「分かりやすくなりましたね」「綾香ちゃんの前ではね」つないだ手を少し持ち上げる。隼人くんの視線が、絡んだ指へ落ちる。「前より、隠さないようにしてるから」包まれた指が温かい。私は少しだけ身体を寄せた。空いている手を、隼人くんの胸元へ置く。薄いシャツ越しに。思ったよりはっきりと体温が伝わった。その瞬間。隼人くんの呼吸が、ほんのわずかに止まる。視線が胸元の私の手へ落ち。ゆっくり顔へ戻った。さっきまで残っていた笑みが。静かに消えていく。「綾香ちゃん」声が低い。「何?」「こういう時は、敬語じゃないんだね」「え?」「さっきから」私の手の上に、隼人くんの手が重なる。離すわけでも。押さえつけるわけでもない。ただ。そこに留める。掌の下で。鼓動が、さっきより少し速い。「熱くなると、タメ語増える」「そんなことないよ」言った瞬間。隼人くんの眉が少し上がる。「今も」気づいて。言葉に詰まった。目元に、わずかな笑みが戻る。「やっぱり」「意識してないだけです」「戻った」「揶揄わないで」「うん」声だけは素直だった。でも。私の手を包んだまま、身体を少し起こす。ソファが沈む。膝が触れる。背中へ回った腕が。さっきより深く私を包んだ。「嫌だった?」聞くと。隼人くんが短く息を吐く。「逆」顔が近づく。「だから困る」「触っただけでしょう」「綾香ちゃんから触られると」吐息が。唇のすぐ近くへ落ちる。「触っただけでは終わらないよ」胸が

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